教育には、比較的短い期間でも見え始める成果があります。文章をより正確に読めるようになる。自分の考えを言葉にできるようになる。それらは大切な成長です。しかし、私たちが本当に見つめているのは、そのさらに10年後、20年後の子どもたちの姿です。
私は産婦人科医として、これまで数多くの子どもたちの「人生の始まり」に立ち会ってきました。しかし、その一方で、日本の出生数は年々減少を続けています。人口減少は単なる数字の問題ではありません。それは、これから一人ひとりの子どもたちが担う役割が、これまで以上に大きくなることを意味しています。
これからの日本は、人口減少、グローバル化、AIの進歩など、これまで経験したことのない社会変化に向き合わなければなりません。国際社会との対話はさらに増え、多様な価値観を持つ人々と協働しながら課題を解決していくことが求められます。そのような時代に必要なのは、英語を話せることだけでも、知識を多く持っていることだけでもありません。
自分は何を大切にするのか。相手はなぜそのように考えるのか。異なる価値観とどのように向き合い、どのような未来を選ぶのか。そして、自分の考えを、自分の言葉で伝えられること。私たちは、その力こそが、これからの社会で最も重要になると考えています。だからこそ、私たちは「今、何を教えるか」よりも、「未来に何があっても学び続けられる人を育てること」の方が重要だと考えています。
これは教育者としてだけでなく、一人の人間としての私自身の実感でもあります。医師になるまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。浪人も経験し、思うような結果が得られず、自分の力不足に向き合わなければならない時期もありました。そのたびに、失敗を受け入れ、方法を見直し、もう一度挑戦することを繰り返してきました。振り返ると、私を成長させてくれたのは、順調に進んだ経験よりも、むしろ失敗や遠回りだったように思います。
だからこそ私は、子どもたちにも失敗を恐れないでほしいと願っています。失敗しない人生ではなく、失敗から学び、立ち上がり、自分なりの答えを見つけながら夢へ近づいていく人生です。その過程で得られる達成感や自己効力感は、誰かから与えられるものではなく、自分自身の経験の中でしか育たないと考えています。レジリエンスとは、生まれ持った才能ではなく、そのような経験を積み重ねる中で育まれていく力だと、私は信じています。
英語環境を選ばれたご家庭は、すでに世界への扉を開いています。私たちは、その大きな可能性を、単なる語学力で終わらせたくありません。読解力、思考力、判断力、洞察力を育みながら、一人の人間として成長し、世界と対話し、社会に新しい価値を生み出せる人になってほしいと願っています。
この教室から巣立った子どもたちが、それぞれの分野で日本を支え、世界とつながり、多様な人々と協働しながら、新しい時代を切り拓いていく。そのような未来を思い描きながら、私たちは日々子どもたちと向き合っていきます。
もちろん、その未来を一つの教室だけで変えることはできません。しかし、一人の子どもの人生は変えられるかもしれません。一人の子どもが読書を好きになり、一冊の本との出会いから新しい夢を見つけるかもしれません。一つの問いとの出会いが、将来の研究者を生むかもしれません。一度のディスカッションが、世界を舞台に活躍するリーダーの原点になるかもしれません。教育とは、そうした「未来への種」を蒔く仕事だと、私たちは考えています。
だからKRClabでは、知識を使って考えること、問い続けること、他者を理解し協働することを大切にします。そして、失敗を避けるのではなく、失敗から学び、方法を見直し、もう一度挑戦できる人になってほしいと願っています。
私たちの願いは、子どもたちが世界で活躍することだけではありません。世界のどこにいても、自分の言葉で考え、他者を尊重し、社会に新しい価値を生み出せる人であってほしい。その未来を信じて、KRClabは子どもたちと歩み続けます。
Read Deeply. Think Critically.
正解を覚える子どもから、正解のない未来を切り拓く子どもへ
KRClab 主宰 医師 北村卓也
小児科監修 村田俊輔(北村医院)